皆さん、こんにちは。株式会社ホームワークで設計を担当しております、早川と申します。前回は、当社の「リノベーションモデル住宅」を題材に、古い住宅がどのように生まれ変わるのか?を紹介しました。
さて、巷のリノベーション住宅に関するブログを見渡すと、施工過程と完成形が主に紹介されていますが・・・何かプロセスをお忘れではありませんか?そう、家を建てる際になくてはならない「設計」というプロセスがあること・・・今回は、「リノベーション住宅・・・設計の現場から」と題して、リノベーション住宅の設計について紹介したいと思います。
まず、「リノベーション」とは、どのような意味なのか、おさらいしてみましょう。
そもそもは「物事の改編や再編成、変革」という意味でこれが転じて建築用語では「既存の建物に大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更して性能を向上させたり、価値を高めたりすること」という意味になります。これは、住宅だけではなく、建築一般に使われる用語です。「札幌時計台」や「北海道庁赤レンガ庁舎」などは、建てられた当時の面影は残しつつ、ギャラリーや博物館として現在も尚、利用されている「リノベーション」の好例といってようでしょう。
では、「リノベーション住宅」の設計はどのように行われるのでしょうか?

設計といえば、住宅を新築する際に渡される設計図を書くことだと、大半の方々は想像するでしょう。上の写真のような青図を見たことがあると思います。
ただ図面を書くだけではなく、お施主様の要望を実現させながら、敷地条件や法的条件を考慮して予算に合わせた建物をデザインすることが設計です。
「リノベーション住宅」の場合、新築とは違って建物と土地は、すでに用意されているのでそれらの固定された条件のなかでいかに改編するか?が勝負となります。

すでに建てられているからといって、必ずしも法的に合致しているとは限りません。中には、届出を出さずに改造され、違反しているケースもあります。既存住宅の図面が手に入り次第、都市計画図で、法的諸条件をチェックして、既存住宅が法的に合致しているかを必ず確認します。
増築工事を伴う場合は、建ぺい率や容積率の制限値までどれだけ余裕があるのか把握する必要があります。

次に現地調査です。図面と実際の間取りに食い違いはないか?柱の位置はどこか?を調べています。

現地調査の結果と入手した図面をもとに梁の位置を平面図に落とし込んでいきます。間取り変更をする際にどこの柱が抜けないか?を調べるためです。「リノベーション住宅」のローコスト化は、既存の間取りをどれだけ生かせるか?が勝負です。梁の掛け替えも極力減らすことが大事です。これらのことは、ローコスト化だけではなく、構造の安定化という面でも重要です。

平面図に柱の位置を落ち込みました。×は通柱といって2階まで一本の柱が通っていることを意味します。

柱、梁位置図の上に何枚ものトレーシングペーパーを重ね、設計図の下図を書いていきます。構造的な要素と使い勝手を頭にインプットした上で、これから生活する家族の様子を想像しながら、間取りを考えます。間取りは一見パズルのように単にはめ込めば良いというわけではなく、ある一定のストーリー性が求められます。この時ばかりはちょっとした小説家になった気分になるとともに、生みの苦しみがピークに達し、頭をかきむしる時期でもあります。

赤い線が、リノベーション後の壁の線です。

1つの住宅から、3案ものプランが生まれました。
生みの苦しみを克服した結果です。この3案をもとに社内会議が行なわれます。ここでは、「より良い住宅を目指すため」に白熱した議論が繰り広げられます。

方針が決まれば、CADを使って清書です。ここでは、細かい寸法も厳密に書くことが出来るので、作図をしながら詳細を検討します。

やっと、お客様にお見せする「プレゼン用図面」の完成です。完成形は「1枚の図面」ですが、今までのプロセスを考えるとここに盛り込まれた労力と知恵は大変なものだということがおわかりになりましたでしょうか?

最後に完成予想図です。「へぇー、こんな風に変わるんだ!」と歓声をあげるお客様の姿が目に浮かびます。同時に成約になると更にうれしいですね。
つづく
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